PPPoEクライアント機能は、インターネットに接続するための「入口の仕組み」を担う重要な機能です。特に光回線やADSLなどの環境で、ISP（インターネットサービスプロバイダ）に接続する際に利用されます。ここではさらに詳しく解説します。
PPPoEの基本
PPPoE（Point-to-Point Protocol over Ethernet）は、LANで使われるイーサネット上でPPP（Point-to-Point Protocol）を動作させる方式です。
PPPはもともとダイヤルアップで「認証・暗号化・IPアドレス割り当て」などを行うためのプロトコルで、それを現代のブロードバンド環境でも使えるようにしたのがPPPoEです。
PPPoEクライアント機能の役割
PPPoEクライアント機能とは「ISPとの認証と通信確立を代行する機能」です。具体的には以下のような流れで動きます。
接続の流れ
- ユーザー認証
ISPが発行する接続ID（ユーザー名）とパスワードを送信し、正しい契約者かを確認。 - セッション確立
認証に成功すると「PPPoEセッション」が確立され、インターネットと自宅のネットワークが直結する。 - IPアドレス取得
ISPのDHCPサーバーからグローバルIPアドレスを割り当てられ、外部ネットワークと通信可能になる。
PPPoEクライアント機能を持つ機器の違い
- PCに直接設定する場合
WindowsやMacのOSに標準搭載されているPPPoEクライアント機能を利用して直接接続可能。ただし、この方法だと1台しかインターネットに接続できない。 - ルーターに設定する場合
家庭用ルーターや法人向けルーターにPPPoEクライアント機能を持たせることで、ルーターが接続処理を担当し、LANに接続された複数のPC・スマホ・タブレットが同時にインターネットを利用できる。
PPPoEとIPoEの違い
現在はIPv6を前提としたIPoE接続が普及しています。
- PPPoE：従来方式。回線が混雑しやすく速度低下の要因になりがち。
- IPoE：新方式。認証が不要で、回線の帯域も広く、混雑に強い。
ただし、古いISP契約や一部のサービスでは今でもPPPoEクライアント機能が必要です。
PPPoEクライアント機能のメリットとデメリット
メリット
- ユーザー認証によって契約者ごとに接続管理できる
- ルーターに任せれば複数端末を同時にインターネットへ接続可能
- ISPごとにアカウントを切り替えることもできる
デメリット
- 認証やセッション管理に負荷がかかり、ルーター性能によって速度低下する場合がある
- 同時接続数に制限がある（ISP側が制御）
- IPoEに比べると速度面で不利
まとめ
- ルーターに設定すれば複数台の機器が接続可能
- 認証とIPアドレスの割り当てを自動で行う
- 現在はIPv6のIPoEに移行が進んでいるが、まだ必要とされる場面も多い
PPPoEクライアント機能とは、「ルーターやPCがISPに認証を行い、インターネット接続を確立するための仕組み」です。
