NAT(Network Address Translation)とは、家庭や企業内ネットワークのプライベートIPアドレスとインターネット上のグローバルIPアドレスを変換する技術です。本記事では、NATの仕組み、種類、メリット・デメリットを初心者にもわかりやすく解説します。
NATとは何か?
NAT(Network Address Translation)は、プライベートIPアドレスとグローバルIPアドレスを相互変換するネットワーク技術です。
ルーターがこの変換を行い、家庭や企業の内部ネットワーク(LAN)からインターネット(WAN)へのアクセスを可能にします。
なぜNATが必要なのか?
インターネットに接続するためには、グローバルIPアドレスが必要です。しかし、IPv4ではアドレスの数が限られており、すべてのデバイスにグローバルIPを割り当てるのは困難です。
そこで、各家庭や企業内ではプライベートIPアドレスを使い、ルーターがNATを使って一つのグローバルIPに変換することで、効率的に通信が行われます。
NATの主な種類
- スタティックNAT(静的NAT)
- ダイナミックNAT(動的NAT)
- ポートアドレス変換(NAPT / PAT)
スタティックNAT(静的NAT)
- 固定の1対1変換
- 特定のプライベートIP ⇔ グローバルIPを事前に設定
ダイナミックNAT(動的NAT)
- 複数のプライベートIP ⇔ グローバルIPプール
- 利用時に空いているグローバルIPが割り当てられる
ポートアドレス変換(NAPT / PAT)
- 一つのグローバルIPに対し、ポート番号を使って複数デバイスを識別
- 一般家庭で最もよく使われる方式(例:インターネット付きWi-Fiルーター)
NATのメリット
- IPv4アドレスの節約:限られたグローバルIPを有効活用
- セキュリティ向上:外部から内部ネットワークが直接見えない
- コスト削減:グローバルIPの使用を最小限にできる
NATのデメリット
- 外部からのアクセスが困難:サーバー公開にはポート転送設定が必要
- 一部のオンラインゲームやVPNで不具合:特定の通信が通らないことがある
- IP追跡が困難:一つのグローバルIPに複数ユーザーが紐づく場合、追跡が難しい
NATとIPv6の関係
IPv6ではアドレスが膨大にあるため、NATの必要性は基本的にありません。しかし現実には、IPv4との互換やセキュリティ目的でIPv6でもNATに似た機能(NAT66など)が使われるケースもあります。
まとめ
NATは、インターネットと家庭内ネットワークをつなぐ“通訳”のような役割を果たしています。
グローバルIPの不足を解消し、セキュリティの面でも効果がある一方、注意点もあるため用途に応じた理解と設定が重要です。



