ピースマークとは
ピースマークは1958年にイギリスのデザイナー、ジェラルド・ホルトム (Gerald Holtom) によってデザインされました。このマークは、核兵器の廃絶を求める平和団体「核軍縮キャンペーン (CND: Campaign for Nuclear Disarmament)」のために作られました。
デザインの意味
ピースマークは手旗信号の「N」と「D」を組み合わせたものです。手旗信号は、船舶や陸上の通信で使われる視覚信号の一種で、旗を使ってアルファベットを表します。
- 「N」：両手を斜め45°に下げた形
- 「D」：右手を真上、左手を真下にした形
これらの信号を組み合わせると、ピースマークの中の線になります。
具体的には、円の中心から斜め下に伸びる2本の線が「N」を表し、垂直に伸びる1本の線と円の下部の2本の線が「D」を表します。これによって、「Nuclear Disarmament (核軍縮)」の頭文字を象徴しています。
ジェラルド・ホルトムの意図
ジェラルド・ホルトムは、自分が「絶望する人間」を表現したかったとも述べています。彼は、両手を下に垂らした自分自身を描き、それがマークの中央部分に反映されています。
このデザインは、核兵器の恐怖とその廃絶を強く訴えるものでした。
ピースマークの広がり
ピースマークは、核軍縮キャンペーンのシンボルとしてだけでなく、1960年代の反戦運動や市民権運動を通じて世界中に広まりました。
アメリカのベトナム戦争反対運動では、ピースマークが平和と反戦の象徴として広く使われました。
ファッションと誤解
今日では、ピースマークはファッションアイテムとしても利用されていますが、その歴史的背景や意味を知らない人も多いです。例えば、ピースマークをハトの足跡や樹木に見立てる誤解もあります。
しかし、本来の意味は「Nuclear Disarmament (核軍縮)」を象徴する手旗信号から来ています。
もう一つの意味
ホルトム氏は、ピースマークの逆さまバージョンも好んでいました。逆さまにすると、手旗信号の「N」が「U」に変わり、「Unilateral Disarmament (一方的な軍縮)」を意味します。
この意味はあまり広く知られていませんが、ホルトム氏は平和に対する深い願いを込めてこのデザインを考えました。
まとめ
ピースマークは、核軍縮を象徴する手旗信号からデザインされたものであり、ジェラルド・ホルトムの平和への強い願いが込められています。
平和運動や反戦運動のシンボルとして広く認識されており、その背景を知ることで、このマークの重要性と意味を改めて理解することができます。
