ウェイソン選択課題(Wason selection task)とは
ウェイソン選択課題(Wason selection task)は、1960年代に心理学者ピーター・ウェイソンによって考案された、論理的推理能力を試す心理実験です。
この課題は、人々が条件文(if-then文)をどのように解釈するかを調査するために使われます。
ウェイソンの実験は、人間の推理についての重要な洞察を与え、特に人々が論理的な課題に直面したときの直感と論理の間のギャップに光を当てました。
ウェイソン選択課題の基本形
課題の典型的な形式では、参加者に4枚のカードが提示されます。それぞれのカードの片面には文字(例:A、B、C、D)が、もう片面には数字(例:1、2、3、4)が書かれています。
参加者は、次のようなルールが提示された後、ルールに従っているかを確認するために、どのカードをひっくり返すべきかを決める必要があります。
「もしカードにAが書かれているなら、その裏側には3が書かれている。」
多くの参加者は直感的にAと3のカードを選びがちですが、論理的にはAのカードと3以外の数字が書かれたカードをひっくり返すのが正解です。
Aのカードを確認することでルールが真であるかどうかを確認でき、3以外の数字が書かれたカードを確認することで、Aが書かれていない限り、ルールが偽であるかどうかを検証できます。
まとめ
ウェイソン選択課題は、人間が直面する論理的な問題に対する直感的な解答と論理的な解答が必ずしも一致しないことを示しています。これは、人間の思考が常に論理的ではなく、文脈や具体的な内容によって影響を受けることを意味します。
この実験は、推理、意思決定、認知バイアスの研究において広く利用されています。また、教育や心理療法、人工知能の開発など、多様な分野での応用が見られます。
人間の論理的思考能力の限界と、直感に頼る傾向について理解を深める上で、ウェイソン選択課題は重要なツールの一つとされています。